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劉文兵著『中国10億人の日本映画熱愛史』(集英社新書) [書籍紹介]

これは単に映画に関する本ではありません。
複雑に絡み合った日中関係を解きほぐす鍵が、随所にちりばめられています。

日本に留学した中国人研究者が、中国の現地語文献を縦横無尽に分析し、
特に文革以後の中国社会において日本映画がどれほど大きな影響をもたらしたのか、
また最近注目の「第五世代」と呼ばれる若手映画監督たちの作品が、
日本映画からどれほど多くの示唆を受けているかといったことなどが、
具体的に紹介されています。

話題の張芸謀(チャン・イーモウ)監督が、
『単騎、千里を走る。』でなぜ高倉健を主役に配したかったのか、
その歴史的背景も本書を読めばクリアになります。

中国経済の発展に伴って、日本の中国に対する影響力は低下しているかもしれません。
また、中国国民による各種の日本バッシングがメディアを賑わせてきましたが、
副題の「高倉健、山口百恵からキムタク、アニメまで」にあるように、
日本の文化が、引き続き多様な形態で中国に刺激を与えていることにも注目したいと思います。

劉文兵著『中国10億人の日本映画熱愛史』集英社新書(2006年8年12日発行、700円+税)


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