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阿部真大著『搾取される若者たち』集英社新書 [書籍紹介]

「バイク便ライダー」の仕事を通じて、
現代社会の真相を明らかにしようとする気鋭の社会学者の実体験に基づくレポートです。

筆者は、「ひきこもりとワーカホリックは紙一重」との立場から、
趣味と仕事を両立させようと「バイク便ライダー」になった若者たちが、
知らず知らずのうちに歩合制に転換してワーカホリックとなり、
趣味のバイクを仕事仕様に買い換えていったり、
事故や体調を崩して業界を去っていくといったプロセスを解きほぐしています。

現代社会における労働の実態に迫り、格差社会問題にも一石を投じる文献といえそうです。

阿部真大著『搾取される若者たち』集英社新書(2006年10月22日、640円+税)


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毎日新聞社会部『縦並び社会 貧富はこうして作られる』毎日新聞社 [書籍紹介]

「横並び社会」というのは、日本社会の代名詞としてしばしば用いられます。
しかし近年、この横並び社会が崩れ、個人主義が横行し、経済的にも格差が拡大してきています。
本書はこうした状況を「縦並び社会」と名付け、日本社会の変化に警鐘を鳴らしています。

そもそも、新聞紙上で連載された記事を基に編集したものですが、
日本や世界の国々において進行している格差の拡大を、
多くの取材と読者の感想、専門家のコメントによって多方面から検証しています。

毎日新聞社会部『縦並び社会』毎日新聞社(1,400円+税)


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『井上ひさしの子どもにつたえる日本国憲法』絵・いわさきちひろ(講談社) [書籍紹介]

日本国憲法改正の議論が活発になっています。
憲法の何を改正する必要があるのか、そもそも今の憲法ではいけないのか、
こんなことをふと考えたとしても、
身近なところに「日本国憲法」を常備している家庭は少ないと思います。
たしかに、インターネットで検索すれば、憲法の条文はすぐにみつかります。
しかし、憲法のことに改めて思いを巡らせるには、きっかけが必要です。

本書は、著名な作家による平易な文章のみならず、
いわさきちひろさんの幻想的な絵によってとても親しみ安いものとなっています。

子どもにつたえるためには、まず大人が憲法を理解しなければなりません。
家庭や学校の各クラスに、ぜひとも1冊常備したい文献です。
2006年7月に発行されてから、既に3刷が発行されています。

『井上ひさしの子どもにつたえる日本国憲法』絵・いわさきちひろ(講談社、952円+税)


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劉文兵著『中国10億人の日本映画熱愛史』(集英社新書) [書籍紹介]

これは単に映画に関する本ではありません。
複雑に絡み合った日中関係を解きほぐす鍵が、随所にちりばめられています。

日本に留学した中国人研究者が、中国の現地語文献を縦横無尽に分析し、
特に文革以後の中国社会において日本映画がどれほど大きな影響をもたらしたのか、
また最近注目の「第五世代」と呼ばれる若手映画監督たちの作品が、
日本映画からどれほど多くの示唆を受けているかといったことなどが、
具体的に紹介されています。

話題の張芸謀(チャン・イーモウ)監督が、
『単騎、千里を走る。』でなぜ高倉健を主役に配したかったのか、
その歴史的背景も本書を読めばクリアになります。

中国経済の発展に伴って、日本の中国に対する影響力は低下しているかもしれません。
また、中国国民による各種の日本バッシングがメディアを賑わせてきましたが、
副題の「高倉健、山口百恵からキムタク、アニメまで」にあるように、
日本の文化が、引き続き多様な形態で中国に刺激を与えていることにも注目したいと思います。

劉文兵著『中国10億人の日本映画熱愛史』集英社新書(2006年8年12日発行、700円+税)


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長谷部尚子著『14歳からの政治 日本の「これから」がわかる教科書』(ゴマブックス) [書籍紹介]

本書は、青山学院中等部3年生の女子生徒が行った、
10人の政治家へのインタビューをまとめたものです。
中学生が読んでもわかりやすい構成になっていますが、
これはむしろこれまで政治に縁遠かった「大人」が読むべき本です。

中学生ならではの視点から、「なぜ」が問い続けられます。
かなり高度な内容が噛み砕かれて説明されているので、
「公民」の教科書よりも、よりビビッドに政治の世界を体感できるでしょう。

インタビューの相手は、次の10人です。

安倍晋三・官房長官
小池百合子・環境大臣
福島みずほ・社民党党首
小澤鋭仁・衆議院議員
世耕弘成・参議院議員
原口一博・衆議院議員
松沢成文・神奈川県知事
中田宏・横浜市長

長谷部尚子著『14歳からの政治 日本の「これから」がわかる教科書』ゴマブックス(1,400円+税)


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中野雅至著『格差社会の結末 富裕層の傲慢・貧困層の怠慢』ソフトバンク新書 [書籍紹介]

格差社会に関する書籍が巷にあふれています。
しかし、世の中の格差の状況を的確に表し、
わかりやすい書籍は必ずしも多くありません。

本書は、厚生労働省のキャリア課長補佐から兵庫県立大学の助教授に転身した筆者が、
小泉政権における政策を十分に踏まえながら、
データをふんだんに用いてわかりやすく格差社会を解きほぐしています。

まずはふんだんな図表のなかから関心のあるところを見つけて、
読み始めてみるのがよいのではないかと思います。

中野雅至著『格差社会の結末 富裕層の傲慢・貧困層の怠慢』ソフトバンク新書
2006年8月28日発行、760円+税


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文春新書編集部編『論争 格差社会』(文春新書) [書籍紹介]

格差の問題については数多くの書籍や論文、雑誌記事などが公表されています。
筆者の立ち位置により、論考のスタンスはそれぞれであるため、
読者としてはどの論文が正しいのか、わかりづらいのが現状だと思います。
また、「格差」の問題が政治的に、あるいはメディア的に取り上げられるときには、
自分に都合の良いスタンスを取る論考だけが意図的に採用され、
その他の議論はあたかも「なかった」かのように、取り上げられていません。

本書は、スタンスの異なる12本の論文・対談を新書にとりまとめるという、
斬新なスタイルを取っています。
書き下ろしではありませんが、これまで格差社会問題に一石を投じてきた研究者の
論文が数多く所収されているとともに、異なる媒体で公表されたものを
あらためて1冊の本にまとめ上げ、格差社会論争に関する判断を読者にゆだねるという、
野心的な取り組みを行っています。

格差問題を探求するにあたって、とても手軽な入門書だと思われます。

文春新書編集部編『論争 格差社会』(文春新書)2006年8月20日発行、750円+税


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松沢成文著『実践 ザ・ローカル・マニフェスト』(東信堂) [書籍紹介]

本書は、2003年にマニフェストを掲げて神奈川県知事に当選した著者による、
マニフェストの作成方法、選挙におけるアピールの方法、
当選後の政策実行方法、そしてマニフェストの進捗評価方法に関する
貴重な「実例」を紹介するものです。

近年、国政選挙における政党によるマニフェスト選挙はすっかり定着してきましたし、
地方自治体の首長選挙における「ローカル(地方版)マニフェスト」も
数多く実施されるようになってきました。
こうした動きに合わせて、マニフェストに関する文献もかなりの数が出版されています。
そのなかでも本書が出色であるのは、マニフェスト選挙を戦った現職の知事が、
マニフェストの作成方法から、マニフェストに掲げた政策を実行に移し、
その成果に関する評価を適切に実施・公開しているところにあります。

今後は、こうした実例が数多く公開されていくことになることが期待されます。
マニフェストは単に選挙に勝つためのツールから、
選挙における「標準装備」として、定着していくことになるでしょう。

松沢成文著『実践 ザ・ローカル・マニフェスト』(東信堂) (1,238円税別)


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「私が愛する日本」『文藝春秋特別版8月臨時増刊号』 [書籍紹介]

8月になると、毎年のように「日本」を意識した特集が組まれます。
本書は、各界の著名人が「私が愛する日本」をキーワードにした
書き下ろしエッセイをまとめたものです。

特に興味深いのは、日本での滞在経験の長い52人の外国人に、
「私は日本のここが好き!」というテーマでインタビューを行っているところです。

日本人であるがゆえに日本の良さを気づいていないことが、
外国人の眼から適切に表現されています。

「格差社会」や「安全神話の崩壊」など、暗いイメージのニュースが多くなっていますが、
夏休みの時期に、改めて自分の足下を見つめ直す良いきっかけになる本だと思います。

文藝春秋 特別版 8月臨時増刊号
「私が愛する日本 全篇書下ろし」(定価1,000円・税込み)
http://www.bunshun.co.jp/mag/extra/aisuru/index.htm


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