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二極化する景気回復 [くらし]

バブル崩壊後の日本は過去に類を見ない長期的な経済停滞に見舞われてきましたが、
近年では、2002年1月を底として、戦後最大規模の景気上昇期にあると言われています。
しかし一方で、多くの国民からは、景気回復の実感がわかないとの声が多く聞かれています。

例えば内閣府「国民生活に関する世論調査」によると、
景気が「良くなっていく」と「悪くなっていく」という回答の占める割合の関係は、
1990年から2004年までは「良くなっていく」が減少する年には「悪くなっていく」が増加し、
逆に「良くなっていく」が増加する年には「悪くなっていく」が減少しています。
しかし2005年の調査では、「良くなっていく」が増加しているものの、
「悪くなっていく」も増加しており、二極化が進みはじめているように思われます。

表:「今後の生活の見通し」に関する意識調査(%)

出所:内閣府「国民生活に関する世論調査」(http://www8.cao.go.jp/survey/index-ko.html

一方、賃金についてみると、厚生労働省「毎月勤労統計調査」によると、
2005年には実質賃金が改善の方向にありますが、
景気回復前と比べても大きく改善されているわけではありません。
また、事業規模別に見てみると、90年代後半から2000年までは従業者5人以上の事業者(全体)と
従業者30人以上の事業者の実質賃金の変動幅はほぼパラレルに推移していましたが、
その後、従業者規模の大きな企業の方が賃金の改善率が高く、
従業者規模の小さな企業も含まれる全体の数値では、
賃金の回復幅が小さいことが見て取れます。
(従業者5~29人の事業者だけを取り出すことは統計上できませんが、
おそらくこの部分を取り出すことができれば、
賃金指数改善の格差はより大きくなることが予想されます)

図:実質賃金指標(現金給与総額、一般・パートタイム労働者を含む)

出所:厚生労働省「毎月勤労統計調査 長期時系列表」
http://wwwdbtk.mhlw.go.jp/toukei/kouhyo/indexkr_1_1.html

以上のように、日本全体では景気が回復していても、
景気回復の恩恵を享受できている層と十分に享受できていない層に二極化が進んでいることが、
大きな課題となっています。


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